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小笠原欣幸・東京外国語大学名誉教授
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 台湾の頼清徳(ライチントー)総統は就任からまもなく1年を迎えます。政権の現在地や先行きをどうみればいいのか。台湾の清華大学で教壇に立ち、台湾で「選挙の神様」とも呼ばれる小笠原欣幸(よしゆき)・栄誉講座教授に聞きました。

  • トランプ再来でさらなる試練、好調支持率に異変も 台湾総統就任1年

 ――最近は下がり気味とはいえ、頼氏の支持率は過去1年間は50%近くを維持してきました。要因は何でしょうか。

 頼氏は総統選の得票率が40%だったので、就任後はそれよりも高い支持率が続きました。背景にあるのは、民進党が少数与党となった立法院(国会に相当)で、国民党と民衆党という二つの野党が連合して攻勢をかけていることです。これに危機感を持った中間派の人たち、例えば昨年の選挙で第3勢力の民衆党に投票したような人たちの一部が政権支持にまわった格好です。

 ただ、野党連合が成立した結果、台湾政治は以前の藍緑(国民党と民進党)2大陣営対立に近い構造に戻りました。頼氏の支持率が高まった一方で、有権者の分極化も進み対立は激しくなっています。政権が反対する法律が次々に可決され、政治が混迷した非常に厳しい1年だったといえるでしょう。この現状には与野党双方の支持者が強い不満と危機感を抱いています。

「先行き予想難しい」原因は

 ――民進党に近い立場の市民団体が国民党の立法委員の罷免(ひ・めん)活動を進めていますね。

 現在、政権の先行きを予測す…

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